T調

さまよいながらじぶんなりにととのえる


ひとつの夜

 夏の夜が好きだ。夏の夜、外に出て少し涼しい風に当たると、なにかちょっと心地よい胸騒ぎがする。  近所では、人々も遅くまで外を歩いている。Tシャツ姿で、サンダルで。そんな開放的な雰囲気が好きだ。  家々の明かりがまだ灯されてるのを見ると、安心する。浴室のそばを通ったのか、石鹸のいいにおいがする。台所で後片付けをする音が聞こえる。そこから家族の声が聞こえてくると、どうしようもないせつないような気分になる。それぞれの家に家庭があり、それぞれの生活を送っている、という当たり前のことが大切に思えてくる。  大切なものは意外と身近にあるものなのだろう。  

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です